各フォントの♥マーク全21種類比べてみた
はじめまして、カヤック新人デザイナーのきんこと申します。
アイコンマークに起用したり、グラフィックの一部に使ったりと、
デザインをしていてなにかと登場することが多いハートマーク。
みなさんは普段どのように制作していますか?
フリーの素材をダウンロードして使う人やオリジナルのマークを作る人が多いかと思いますが、
今回は自分がよく使う、フォントに含まれるハートマークについてお話しします。
フォントに含まれるハートマークをリストにしてみた
はじめに、ハートマークがシンボル登録されているものを表にしてみました。
こうして並べてみると、よく見る形のものから個性的な造形のものまで様々です。
見たことのないハートもあるのではないでしょうか?
特に欧文フォントは、シンボル登録されている書体も少なく、「ハート→変換」では入力出来ないので、
見つけるのに苦労しました...。
(他言語のハートマークを入力したい場合は、字形パレットから入力することができます。)
※このリストはあくまでぼくの持っているフォントでの結果なので、みなさん自身のフォントでハートマークを洗い出してみると、また違う結果になってくると思います。お試しあれ!
さて、これほど選択肢があると、つい感覚で選んでしまいそうですが、ハートマークも他のフォントと同様、特性を理解すればそれぞれに合った使い道が見えてきます。
和文のハートと欧文のハートを比較。
和文と欧文のハートを比較してみました!図は、和文欧文それぞれのハートを透過して重ねたものです。ご覧の通り、和文と欧文とで形が大分違います。
欧文のハート下部に向かう曲線が内側にカーブしています。和文に比べて、線に抑揚があり、スリムでセクシーな印象を受けます。また、お尻の部分が鋭角にとがっているものが多いため、どことなくキューピットの矢を連想させます。大人っぽい雰囲気を出したいときや、色恋ごとを表現したいときは、欧文のハートマークが合いそうです。
和文のハート欧文とは対照的に、下部へ続くカーブは外側へ膨らんでいます。全体的に丸み帯びているものが多く、ポップで親しみやすい印象を受けます。欧文のような強いクセはないため、いろいろなトーンのデザインにマッチしそうです。日本人になじみがある形といえばやはりこっちなんじゃないでしょうか?
この違いはどこから来るのでしょう?
考察1ハートマークの起源は、女性の体の象徴として作られた説、心臓の形を元に作られた説、聖職者を象徴として作られた説など、さまざまで、はっきりとは定義されていません。そのため、国や宗教ごとにハートマークに対するイメージに違いがあり、その違いが形にも影響していると考えられます。ちなみに、欧米では、キューピットの矢の形や、トランプで使われるハートの形が主な由来とされてるそうです。(wiki参照)そう考えると、欧文のハートの独特な形状にも合点が行きますね。興味がある人は、他の言語のハートマークも調べてみると面白い発見があるかもしれませんよ!
考察2フォントに含まれるハートマークは、文字と並べて使うことを前提に作られるため、所属するフォントの造形がハートマークの形状に大きく影響すると考えられます。よって、全角の和文と半角の欧文とでは、必然的に縦横比が変わってくるようです。ハートマークをテキスト一緒に扱うときは、おとなしく同じ書体に登録されているものを使うのがよさそうですね。使いたいフォントにハートマークが登録されていない場合は、形の似ているフォントのハートマークで代用すると良いかもしれません。
和文同士でも比較
次に、和文のハート同士を比較してみました。
今回は、和文書体の代表格、ヒラギノ書体と小塚書体、先日Googleから発表されたオープンソースの書体の源ノゴシックの三つを比べてみます。
ぱっと見どれも同じようですが、細かく見ると線の抑揚や縦横比が微妙に違うのがわかります。
ヒラギノのハートマーク三つの中で一番背が高く、山から谷に向かうカーブが急で、谷の部分が少し丸み帯びています。
そのため、やや肩に力が入っているような印象で、すこしゴツめです。
小塚のハートマークヒラギノのハートに比べ、谷の曲線が緩やかで品のある印象を受けます。
下部へ向かうの曲線はフラットで、縦横比も偏りがなくちょうどいい感じです。
三つのハート中で、もっともバランスが良くベーシックな形状といえます。
源ノゴシックのハートマーク字幅は広めで、曲線の抑揚が大きく、下部へ向かう曲線は欧文のハートマークのように内側にカーブしています。
三つのなかで一番柔らい印象で、女性っぽさを感じます。
和文と欧文を複合したような珍しいタイプのハートマークです。
ハートマークは微妙な差で印象が変わる!
比較をしてみてわかる通り、ほんのわずかな造形の違いで与える印象に大分差がでてきます。ハートマークは、形がシンプルな分ちょっとしたラインの曲がり具合や縦横比の差で印象が大きく左右してくるようです。良ーく見ないとわからない微妙な違いですが、知っておくと、迷わずにトンマナに合ったハートマークを選択できたり、オリジナルのハートマークを作成するときに参考になったりと、いいことずくめなので、時間があるときに、手持ちのハートを観察してみて下さい!
書体ハートマークのすすめ
最後に、個人的に思う、使えそうな書体のハートマークを紹介します!
【スタンダード系ハートマーク】
小塚書体、Menio のハート
丸みを帯びすぎず、鋭角になりすぎずと言った感じで、最もスタンダードな形状のハートです。シンプルな分、余計な印象与えることがないので、フラットなデザインをはじめ様々な用途で活躍しそうです。
【ラウンド系ハートマーク】
FontFace 73 Free IconFont
likeやfavoriteのアイコンでよく見る形状のハート。ポップで軽い印象があり、恋愛感情というよりは、家族間や友人の間の繋がりを表現するのに向いていそうです。また、円に近い形をしているため陰影や光沢をつけやすく、ゲームのライフポイントのアイコンなどでも活用できそうです。
【ワイド系ハートマーク】
zapf dingbats、源ノゴシック
横に広く、包容感のあるハートマーク。小さくしたときにも視認しやすいので、ポイントで小さく表記する場面にもってこいです。ワイドな分、ハートマークの中にテキストを入れたい時にも使えます。
まとめ
ハートマークと一概にいっても、その形によってイメージも用途も全然変わってきます。この差異を一からパスで表現しようとすると、とても難しいし、時間がかかってしまいます。そんな問題を解決してくれるのが、フォントに含まれるハートマークです。
フォントに含まれるハートマークは、他の文字と同様に長い時間をかけてつくられているため、完成度は非常高く、単体でそのまま使用しても何の問題もありません、形を変えたいときは、アウトライン化で簡単に調整することもできます。これらのハートマークをうまく扱えるようになれば、作業の効率化やデザインのクオリティ向上にきっと繋がります!
書体を使い分けている感覚で、ハートマークも取捨選択できるようなれたら、最高ですね!以上、フォントに含まれるハートマークについて話でした。