はじめに
自己紹介
はじめまして。Lobiチーム意匠部のばっこです。
カヤックで「Lobi」というスマホゲーマー向けSNSのデザイナーをしています。
去年の8月頃に社内の受託チームからLobiチームに異動をして、
半年ほどLobiの周辺サービス(Lobi REC SDK、Lobi Play)を担当したり、
少しだけ新規サービス(RANKERS)のお手伝いをしたりしていましたが、
最近、Lobi本体のアプリに携わるようになりました。
世間のUXブームに遅ればせながらも、業務でUXについて考える機会が増えてきたので、
今回は、そんなLobiでのUXデザインの取り組みを紹介したいと思います。
Lobiは、スマホゲームに特化した国内最大級のスマホゲーマーSNSです。
同じゲームをプレイしている友達を探したり、攻略情報を交換したり、レアアイテムを披露し合ったりしながら、ゲームを通じて新しい仲間を見つけることができます。
何のためのUXデザイン?
そもそも、何のために「UXデザイン」をするのでしょうか。
Lobiの場合、「デザイナーがサービスの改善にもっと貢献するため」の手段の1つとして取り組み始めました。
というのも、
本来、Lobiのデザイナーの仕事は「ゲームをもっと楽しくする」体験を提供することであり、
その目的のためであれば、デザイナーという職業にこだわる必要はなく、何でもやれる自由なポジションにいます。
しかし、僕がLobi本体に参加した時のデザイナーチームの主な仕事は、
「チームの誰かが考えた施策案を元に、必要な画面を作ること」でした。
このギャップを埋めようと思ったときに、
記事タイトルにもある「ヒューリスティックマークアップ」が効果的でした。
ヒューリスティックマークアップとは
「ヒューリスティックマークアップ」は、ユーザー調査のための手法の一つです。
書籍「一人から始めるユーザーエクスペリエンス」の中では、以下のように説明されています。
ユーザーの行動を写真で記録したり、利用しているサイトやアプリのスクリーンショットを撮り、自分の感じたことを記録してください。
それらの体験の一つひとつのステップをパワーポイントの新しいスライドに貼り付け、ユーザーの気持ちになって使ったときに知ったことや、考えたことなどを記録してください。
「ヒューリスティック評価」「ヒューリスティック法」と言えばご存じの方も多いかもしれません。
それと似た、その簡易版という位置づけの手法です。(「ペルソナ」に対する「プロトペルソナ」のような)
簡単に言えば、「ユーザーになりきって見る」というだけの手法なのですが、
「UXデザインって何をしたら良いの?」という状態だった僕にとっては、
むしろそのお手軽さがちょうど良かったです。
ヒューリスティックマークアップのやり方
Lobiで初めて試してみたときの資料はこんな感じです。
本来は社内向けの資料なので、あまり体裁にこだわる必要もなく、
以下の4ステップで簡単に実践できます。
ヒューリスティックマークアップの4つのステップ
1.改善するフローを決める
例えば、「そのアプリをApp StoreからDLして起動し、チャットで初めて発言するまでの体験」とか、
「そのアプリで友だちを招待しようと思い、実際に招待をするまでの体験」など、
これから改善をしたいフローを決めます。
2.フローのキャプチャをすべて撮る
フローの一連の流れのキャプチャをすべて撮ります。
その際に、各画面で感じたこと・気づいたことをしっかりメモしておきます。
(「ユーザーがそのシナリオでその画面を触ったときに、本当にそう思うか」ということに気をつけながら見てください)
3.スライドにまとめる
キャプチャとそれに対するメモが用意できたら、スライドに1画面1枚でまとめていきます。
(スライドはパワポでもkeynoteでも何でも良いのですが、僕は共有が楽なのでGoogleスライドを使っています)
画面に対して「起こったこと」「思ったこと」「次のアクション」を書くなど、
何かしらフォーマットを作ると、まとめやすく、読みやすくなります。
4.資料を共有する
ここが一番大事で、このために資料を作ります。
チームの目に触れる場所で資料を共有して、意見を募ります。
(Lobiチームでは、社内のslackのチャンネルに貼って共有をしました)
ヒューリスティックマークアップのメリット
デザイナーの仕事が広がる
この「ヒューリスティックマークアップ」に取り組み始めた時点で、
「言われた通りのものをつくるのが仕事」という状態から脱却できます。
チームをデザインの議論に巻き込むことができる
デザイナーしか気にしていなかったようなことを、スライドにまとめて共有することによって、
「デザイナーだけが感じている問題」が、「ユーザーに起こりうる問題」として可視化され、
チームがデザインの議論に参加しやすくなります。
それにより、早い段階でデザイナーだけでは気づかなかった指摘をもらえて手戻りが減ったり、
デザイナーには無かった観点の意見をもらえるようになります。
そのまま施策に繋がりやすい
具体的な画面とセットで問題を可視化すること、
それをチーム全体に共有して関係者を増やすことによって、
自然と話を次のアクションに繋げやすくなります。
更に言えば、「ヒューリスティックマークアップ」を最初にやることによって、
他のUX手法にも繋げやすいように思いました。
(仮説の精度を上げるためのユーザーインタビューだとか、そのインタビューを元にペルソナをつくるだとか)
おわりに
いかがでしたか?
今回は、UXデザインに取り組み始めた頃のLobiの話を紹介させていただきました。
「UXデザインって何から始めたら良いの?」と悩むデザイナーさんの一助になれば幸いです。
また、現在カヤックではデザイナーを募集中です!
クライアントワーク事業部、ソーシャルゲーム事業部、Lobi事業部など色々ありますので、
是非一度コーポレートサイトを覗いてみてください。
(つい最近、3年ぶりに全面リニューアルしました!)